今回の卒業生インタビューは、アーティストとして活動する上地愛乃さん。
6 月に那覇市で開催された個展会場でお話を伺いました!
‐どんな高校生でしたか?
真面目!ではないけど不真面目でもない、テスト前に一生懸命勉強していたタイプ。部活も入らず、学校が終わるとすぐカラオケに行くようなTHE女子高生。でも、放課後に美術の授業の作品を一人だけ残って取り組んでいる、そんな高校生でした。
‐琉球大学の美術教育を受験したのはなぜですか?
小学校のときからずっと先生になりたいな、と思っていました。じゃあ何だったら楽しく教えられるかな、って考えたとき、それが美術だったんです。高校2年生のときに「このままじゃ学力が足りない」と気付いて進学クラスを受験したりしました。教育学部がある大学のオープンキャンパスも行きましたね。この頃からようやくちゃんと勉強するようになりました。(笑)
大学で美術をやりたいなら「なぜ芸大じゃないの?」とよく言われますが、先生になりたい気持ちが大きかったのと、芸大は入試の時点で絵画とか工芸とか分野を絞らなければいけませんでした。一つに特化した何かはまだ無いから、全部学んで自分の専門の表現を見つけたいと思って…!当時いろいろ調べましたが、こんなに幅広く美術の分野を学べる総合大学ってやっぱりないなと。なので、今でも琉大を受験して本当に良かったなと思ってます。
‐入学試験の対策は?
高校3年生から美術系の予備校にいきました。普通の学習塾にも通いながらだったので、美術の予備校は週1回だけですけど。本格的な2次試験対策はセンター試験が終わってから、ようやく取り組んだ感じです。琉大の美術しか行く気がなかったので、後期はどこも申し込んでません!試験の当日は「絶対自分の世界に入りこもう」と思って、とても楽しんだのを覚えてます。(笑)
‐大学生活はいかがでしたか?
大学に一緒に入学した4人の同級生が良くも悪くも何でも言ってくれる人たちで、いい感じで私のプライドを折ってくれました!なので肩肘張らずのびのびと過ごしました。大学に入ってだいぶ人が変わったと思います。5人全員でケンカすることもあったけど、今はすっごい仲が良くて大切な存在です。きっとこの大学に入ってなかったら絶対に交わらないようなメンバーですね。でも、それぞれが美術っていうキーワードを基にして、授業、教育実習、卒業研究・・・と切磋琢磨して、頑張れました。
大学在学中で印象に残っていることは3つあって、1つ目はとにかく先輩がみんな個性的で魅力的だったこと。2つ目は教育実習。3つ目は授業内容と卒業研究ですね。やっぱり少人数制ということもあり、学年を超えてみんな仲がいいです!教育実習は小学校、高校と2回行きましたがとてもやりがいを感じました。
特に私の人生を一番大きく変えたのが卒業研究でした。最初、ゼミの先生に自分のやりたいテーマを話したら「それは美術じゃないよ。こういうものをやりたいなら、何かの番組に投稿すれば?」と言われてケンカをしてしまって。その時は悔しくて泣いてしまったことを覚えています(笑)!今思えば、きっと自分に期待してくれていたんだと思うんですけどね。時には褒められたり、と思えばまた否定されてケンカしたりと色々と濃い時間を過ごしました。この経験を通して私が思ったことは、先生と本気でぶつかり合えるのは大切だな、という事です。それは琉大の美術教育が少人数制で、他の専修に比べて先生と密に話せる時間も多かったからだと思います。
あと、卒業研究をやり終えた後に、別の視点から改めて作品について考えたり、色々と新しい課題が出てきたりしたことは、自分にとって生き方に関わる大きな経験になりました。私の中では、琉大の特色を存分に活かせた大学生活だったと思ってます!
卒業研究
「どこにいるの?ユニコーン」
紙芝居
大学院 修了研究
「コンペイ糖の上に寝たお姫さま 」
インスタレーション,パフォーマンス
‐今回の展覧会について
卒業研究では「かわいい」をテーマにした研究題目だったんです。ほぼ男子禁制の「かわいい」に特化した少女だけの世界をつくりました。それで、その「かわいい」に対抗するのが「男性」。男性の眼差しがあるからこそ、少女の世界が強まるんだなっていうのを感じたので、大学院では学部の時には排除してた「男性の眼差し」とか、「女性になりたいけど、なれない」とかそういった視点にも目を向けて制作しました。
だけど、今回はもう「かわいい」ではないんじゃないかと思って。かわいいという言葉も確立されすぎちゃって、もう珍しくない。むしろ飽和状態。「きもかわいい」とか、「ゆめかわいい」とかどんどんカテゴライズされていって、でもそこに自分はおさまってないな、違うんだけどなっていう思いがありました。それで、「かわいい」という言葉から一旦離れて、「少女」というテーマでやっています。今まではもっとプライベートな私から出ている表現でしたがそうではなくなったんですよね。自分の事ではなく、もうちょっと普遍的な、みんながわかる「少女のなにか」を視覚化というか、伝えられたらなって。核の部分はずっと一緒だし、同じ文脈にはいるんですけど、意識的にはちょっと変わってきたのかなって思います。
‐受験生へのメッセージをお願いします
琉大の美術教育は、美術を幅広く広く学べるし、先生との距離も近くて、プロフェッショナルな先生から手厚い指導をしてもらえるよ!皆さんも、琉大美術教育専修にCome On!!
‐ありがとうございました!
上地愛乃 <Aino UECHI>
沖縄県立浦添高等学校出身,2013 年琉球大学教育学部美術教育専修卒業(卒業研究題目「かわいい♡絶対的少女領域♡」),2015 年同大学院教育学研究科修了(修了研究題目「かわいい♡相対的少女作戦♡」),2017 年那覇市のBARRACKで初個展『frilly』を開催
卒業生インタビュー
聞き手・記録・構成
伊計佳奈子 宮里優花 知名美咲 内間汐梨
永津禎三 亀井洋一郎