現代アートレクチャー
ソーシャリー・エンゲイジド・アートの新たな潮流
現実社会と深く関わるアート活動を読み解く
1990 年代以降、ソーシャリー・エンゲイジド・アート(Socially Engaged Art、以下SEA) という分野が世界的に広まっています。日本でも、3・11以降、アートを社会と結びつけた活動が広がりを見せています。
SEA とは、アートはアーティストだけがつくりだすものという既存の概念を覆すものです。既存のアートというくくりから飛び出し、皆さんの日常生活に積極的に関わり、社会、政治、経済などの現実の生活に横たわっている問題点を、アーティストと皆さんが一緒になって取り組み、今の生活をより良く変えていく気づきやきっかけ作りとしてそこから期待される「変革」を行う活動です。
今の私たちの社会には、高齢化、子育て、格差、環境、差別、労働問題、沖縄では基地問題など、複雑な課題があふれています。こういった課題に対して、アーティストたちはどのようなヴィジョンを持って、積極的な「変革」をもたらそうとしているのでしょうか。実際の国内外に置けるSEA
のプロジェクト事例を紹介するとともに、その様々な活動を比較し、地域社会に置けるアーティストの新たな役割とその実施方法について分析します。
講師:清水裕子(Hiroko Shimizu) 大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員
南カリフォルニア大学芸術建築科パブリックアート研究科修士修了。パブリックアートのディレクションや関連展覧会の企画に携わり、アートと文化、エコロジー、環境、社会再生の関係を主に研究、調査、Stadtkunst Kunststadt(Berlin,2010)、ユネスコ、パブリックアート会議報告
(Paris,2011)、ECO-ART (Finland Pori Museum, 2012)、Earth Art Catalogue( マルモ出版、Zinio 発行、2014) などに執筆。翻訳『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門』(フィルムアート社、2015)。NPO 法人アート&ソサイエティ研究センター副代表理事、「パブリックアート・マガジン」を発行。